Inside Outside House
内と外の家

  • LIVING ENVIRONMENTS

浜松の地場のハウスメーカーと新しい木造住宅モデルをつくることに取り組んだ。

まず考えたのは、民家のような大きな家をつくりたいということだ。
いつのまにか日本の家は、2LDK,3LDKと、部屋の集合になってしまった。要するにそれだと箱のような建築、箱が並ぶ街並みになってしまう。

日本の建築文化・暮らしの文化をつくってきたのは、縁側とか土間とか、内部と外部が入り交じるような空間である。こうした内部と外部の交じり合いは、空間の魅力だけでなく、何より便利だ。外部の人が遊びにきたときに、縁側というのは実に居心地がよいし、プライバシーがほどよく守られつつ他者も受け入れることができる縁側は、まさにわれわれの生活文化の代表と言える。玄関しか外とつながりがない現代住宅は、実は介護のヘルパーさんなどにとっては、心理的に高い障壁があるのではないかと思う。

300年住み続けられる民家は、伝統や美しさによって住み続けたのではなく、便利で暮らしやすかったということがあると思う。

今回は、ここに住むお施主さんが決まっていないプロジェクトなので、建築の骨格作りに集中して設計を進めた。日本では、普通の木造住宅はツーバイフォーというアメリカの構法が使われている。これは壁構造だから、当然部屋という単位で設計されてしまう。

私たちが考えたのは、ポリラインフレームという二重線グリッドの構造システムだ。これはSE構法の展覧会<MAKE HOUSE展>で考えたアイデアがベースになっている。柱梁を二重線にすることで、より少ない構造壁で設計できるし、大スパンの架構がつくる透明感のある大きな空間が魅力だ。まさに現代の民家的な構造システムである。

民家の重要な部分は、農作業などの暮らしの多様性を成り立たせている庭である。しかし、日本の今の住宅地は敷地割りが狭く十分な庭が確保できない。そこで、ポリラインフレームの構造体の内側に土間のような半屋外空間を持つことを考えた。敷地はあえて旗竿敷地の環境条件の悪いところに設定した。一種の社会実験である。

やってみての大きな発見は、庭を構造体に内包することで、この住宅のどこにいても隣地からの視線をほとんど気にすることなく、庭に対して大きな開口部を開け放して暮らすことができるということだ。通風を工夫したので、一年を通じて、エアコンを使わずに気持ちよく暮らせる。もう一つの発見は、庭を屋根がかかった土間とすることで、ここが園芸やバイクいじりや日曜大工などの趣味の空間、あるいはギャラリーやカフェなどの小商いの空間としても使うことができそうだということだ。

庭を内包する構造体から住宅を考えなおすことで、内部と外部の空間が混ざりあい、大らかで自由な空間の住まいとなる。このプロジェクトで学んだことは、住宅のつくり方をちょっと変えただけで、かつての民家のような豊かな暮らしの場を再構築できそうだという実感である。

モデルルームとしての役割を終えたら、誰か住人を募って売るらしいから、浜松の方にお住まいの方は気になったら連絡してほしい。

We worked with a locally based construction company to develop a new housing model.

In this project we were motivated by a critique of the ever-present ‘-LDK box house.’We wanted to utilise ordinary construction techniques to create a brighter alternative.

Looking back at the roots of Japanese domestic culture, we became interested in the space where the inside and outside are mixed. Looking closely at the engawa (verandah), the naka niwa (courtyard), and the doma (dirt floor) we began to realise that these spaces are not only pleasant spaces, but they are also convenient spaces: spaces born from our daily behaviours. It seems that modern housing has left a lot of this behind, and in doing so, created an urban fabric of barriers.

To bring the outside in and let the inside out, we came up with a double-line grid system called a ‘polyline frame.’ By making the structural lines double, the threshold could be actively designed as a space between the structure, and we could focus on maximising the quality of these in-between spaces.

By rethinking the house from a structural perspective, we were able to develop a new design methodology that mixes interior and exterior spaces at the planning level. The result is a sequence of open, connected spaces that is open to the city, and more connected to the rhythm of our daily lives.

設計|藤原徹平/フジワラテッペイアーキテクツラボ(担当:岡真由美)
所在地|静岡県浜松市
構造|木造SE工法
規模|地上2階

敷地面積|242.15㎡
建築面積|74.73㎡
延床面積|139.32㎡

設計期間|2015年2月~2016年7月
施工期間|2016年8月~2017年4月

掲載誌
新建築住宅特集 2017年6月号
モダンリビング ML WELCOME vol.5

写真クレジット
© Nacása & Partners Inc. FUTA Moriishi