KURKKU FIELDS CHARCUTERIE
クルックフィールズ シャルキュトリー

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クルックフィールズ シャルキトリー棟。シャルキトリーとは聞き慣れない言葉だが、chair(肉)+cuite(火を入れる)、が語源。ハム、ソーセージ、パテ、テリーヌなどの総称で、その多くは豚肉を原料とし、クルックフィールズでは、房総半島のイノシシや鹿などのジビエも多く扱う。

命の循環がテーマのクルックフィールズでは、日本全国で広がるイノシシや鹿の獣害にどう向き合うのかが長いこと話し合われてきた。何万頭もの命が奪われて遺棄されてしまうのではなく、命にどう向き合うのか、未来の社会のためにはきちんと考えなければならない課題である。

総合プロデューサーである小林武史氏や担当スタッフは、ジビエについても随分と研究を重ねていて、研究の果てに、千葉県と共同してジビエの食肉処理場までつくってしまった。というのも地域に食肉処理場が無いと、イノシシや鹿を獲っても精肉にしてはいけないという法律があるからである。場外の食肉処理場で処理されたジビエがクルックフィールズに届けられ、シャルキトリー棟で、塩漬けや乾燥、燻製など、肉の保存性を高めて加工されていく。職員加工の効率的な向上であることも重要であるが、もう少し文化的な場所であるべきだろうと考えた。

私がまずイメージしたのは、以前に訪れた唐招提寺の食堂である。修行の場の一角に大きな炊事の場、食べる場がある。仏教においては食事をつくることも、食べることも修行の一環であり、その考え方に大変感動した。平面計画も大変に機能的なのに、建築の佇まいは堂々としていて大きな庇が環境をつくっている。

小林氏の獣の命に対する考えを聴いていると、命の循環を泰然と受け止めてつつも誠実にできることを一つ一つ真剣に向き合っているようなところがあり、唐招提寺のように環境に対して大きな構えを持った建築にするのが良いと考えた。縁側のような長いベンチを添わせることで、軒下ではシャルキトリーで買った軽食を食べながらマザーポンドをぼんやり観ることもできる。

外装はコールテン鋼の鉄板とした。時間と共に変色していくので、久しぶりにまた訪れてその佇まいをみたくなってくる。

設計|藤原徹平/フジワラテッペイアーキテクツラボ(担当:岩井一也、中村駿太、平野優太、柳圭祐、賴靖森)
所在地|千葉県木更津市
構造|鉄骨造
規模|地下1階

敷地面積|1077.39㎡
建築面積|294.60㎡
延床面積|181.40㎡

設計期間|2017年4月~2018年8月
施工期間|2018年8月~2019年3月

掲載誌
GA JAPAN159 2019年7-8月号
商店建築 2020年2月号
日経アーキテクチュア2020年3月26日号

写真クレジット
Yurika Kono、新建築社写真部、住友林業、FUJIWALABO(詳細は各写真拡大画面に記載)