kinone higashikurume
kinone 東久留米

  • ARCHITECTURE

kinone 東久留米は、ローカルデベロップメント型の集合住宅である。
工事費や運営管理費の高騰によって デベロッパーによる集合住宅は画一的でつまらなくなる一方である。そして、そのつまらなさに実は地主たちも辟易している。この状況を突破し、集合住宅によって地域の未来を描けないかということが依頼された。

住戸タイプをとことん考えて、ファミリーから単身者まで7タイプ39住戸が入る。オーナーが花農園を営んでいることから、全住戸のバルコニーに花壇を設け自動散水により緑あふれるデザインとしている。低層部は地域の商いの場として、フードコート的な空間とし、なるべくスケルトン的な仕様でコストを抑えながらも他にはない表情の建築デザインとしている。

デザイン性やコンセプトにこだわる分、建築コストはデベロッパー型に比べて少し割高であるし、植栽管理含めて、全体として運営の難しさが生じる。しかし、オーナーが自主運営会社をつくり自主運営とすることで、デザイン、ブランディング、運営が一体で進めることができ、事業収支はむしろ10年単位でみると向上している。

完成して1年にも満たないが、すでに地域への波及効果が生まれ、地域性を考えて面白い集合住宅をつくろうという地主や事業者がでてきているようである。このように工夫をして、個別の魅力がある集合住宅が、次の時代のまちづくりのスタンダードになっていけば良いなと考えている。

設計|フジワラボ・針谷設計共同体
   担当:久米雄志、上原佳広*、尾崎彬也*、浜本雄也、大屋康幸 (*元スタッフ) 

所在地|東京都東久留米
構造|鉄筋コンクリート造
規模|地上8階
 
敷地面積|764.82㎡
建築面積|578.63㎡
延床面積|3066.77㎡

設計期間|2022年7月〜2023年4月
施工期間|2023年5月〜2024年8月

掲載誌
新建築 2025年2月号

写真クレジット
千葉 顕弥

kinone HP