Obama Village
小浜ヴィレッジ

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小浜ヴィレッジは、鹿児島県霧島市の小浜という、桜島と錦江湾をのぞむ美しい環境にも関わらず、過疎化が進んでいて、町の人口は650人程度という小さな集落につくられた民間発意の新しい形の地域再生プロジェクトである。

7000平米強の敷地の中に、様々な活動がひしめいている。
霧島の森の木で造られた木造のオフィス群は、土着性と現代性の両面の質を持ち、誇りをもって働ける心地よい空間をしている。
パン屋やカフェやビール工房など、魅力的なお店が連なった丘のようなテナント棟は、ロードサイドに向けて顔をつくり出し、新しいコミュニティを呼び込んでいる。

プロジェクトのプロセスにおいては、地元の方々との対話や、土地の暮らしを尊重するためのフィールドサーベイが重要だった。
どんな未来を望んでいるのか、どんな歴史をこの場所が持っているのか、時には専門家を招き、哲学的な議論も交えながら、丁寧に計画を創造していった。
小浜という土地の可能性を磨き上げ、いかに人の営みと自然の美しさを両立させるのか。またそれを、中小企業の出資による限られた予算の中で、どうやって実現するのか。その難題に対して、構想、設計、施工、全てのプロセスにおいて、課題に対する創造的な解析と、本質を追求する計画方法を模索していった。

小浜ヴィレッジには、排水を微生物や植物の力を借りて浄化させるバイオジオフィルターという仕組みを取り入れている。
排水が浄化されるだけでなく、生物が増えていくことが重要で、人が集まって暮らすことで、生き物が増え、生き物が増えることで最終的に森や海が豊かになっていく循環の仕組みである。
小浜ヴィレッジでは、そのバイオジオフィルターを、住民たちと地域の人たちの自力建設でつくった。

設計|藤原徹平/フジワラテッペイアーキテクツラボ(担当:武田まりの、賴靖森、宇田政仁、Patrick Wheare)
ランドスケープ設計|フジワラテッペイアーキテクツラボ(担当:稲田玲奈)
所在地|鹿児島県霧島市
構造|木造
規模|地上1階または地上2階

敷地面積|7156.23㎡
建築面積|1078.53㎡
延床面積|1207.11㎡

設計期間|2019年5月~2022年3月
施工期間|2022年7月~2024年3月

掲載誌
GA JAPAN167 2020年11月号
GA JAPAN189 2024年7月号
新建築 2024年7月号

展示
GA PLOT 設計のプロセス展
2020年11月3日~2021年1月31日

写真クレジット
小川重雄, FUJIWALABO(詳細は各写真拡大画面に記載)