Salone
星美ホーム サローネ

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児童養護施設として約80年の歴史を持つ「星美ホーム」には、「サローネ」と呼ばれる建物があった。イタリア語で“人々が集まる大きな部屋”を意味するその場所では、子供たちが日々遊びを生み出し、特別な日に劇や催しを共につくり上げてきた。多くの人たちが心を通わせながら、子供たちが穏やかに過ごし、自信や喜びを育んでいく特別な場所だった。

老朽化に伴う再建の際、残念ながら助成金を得ることができなかったが、園の方々が根気強く寄付を集め、多くの人の協力をもらいながら、新しいサローネを建てることになった。

かつてのように、大きな家のようであり、聖堂のような大切な場所であるだけでなく、ずっと成長を見守ってくれる拠り所、帰るべき場所と感じられるように、柔らかな空間性と手仕事の質感を心がけて建築をつくった。

サローネだけでなく、ランドスケープも一体でデザインできることになったので、将来、グラウンドが小さな森になっていくように考えて、小さな木をたくさん植樹した。運動や遊びだけでなく、ぼんやり過ごす場所になるように、通路を有機的な形に歪ませたり、フットサルコートも不定形な形にしたり、多様な居場所をデザインしている。

子供たちを中心に人々が自然と集ってくるような社会のあり方を引き続き考えていきたい。

設計担当|中村駿太 恩田福子* 尾崎彬也* 大屋 康幸
ランドスケープ設計担当|稲田 玲奈 三木つばさ* (*元スタッフ)
所在地|東京都北区
構造|木造
規模|地上1階
 
敷地面積|63117.55㎡
建築面積|サローネ:345.09㎡ 地域防災倉庫:51.95m2 屋根付き砂場:15.78m2
延床面積|サローネ:292.62㎡ 地域防災倉庫:50.78m2 屋根付き砂場:15.78m2

設計期間|2017年2月〜2022年9月
施工期間|2022年11月〜2024年5月

掲載誌
新建築 2025年5月号

写真クレジット
FUJIWALABO(詳細は各写真拡大画面に記載)