Senpokaku Revitalization Project
扇芳閣再生計画基本構想
- MASTERPLAN
三重県鳥羽市の旅館「扇芳閣」再生計画基本構想プロジェクト。
設計に先立って、基本構想、事業計画の構築を支援した。
どんなビジョンを軸に据えるかの議論に始まり、旅館が抱えるハード、ソフトの課題、創業の歴史を調査した。施主とともに様々な状況を整理・深掘りしていく中で、「新しい家族旅行」というコンセプトをつくりだし、そこに肉付けをしていく形で旅館の将来像を構想していった。
重視したのは、単に旅館を空間的に改修するだけでなく、金比羅神社を頂に持つ旅館の裏山の価値を再評価し、森と旅館一体で地域の暮らしの場としても再価値する形で、マスタープランをつくったことである。
一方で、短期的には収益構造を改善する必要があり、未利用・低利用の客室やラウンジに新しい価値や意味づけを与えていく改修の方針を計画。それを居ながら改修で進めるマスタースケジュールを組んだ。
施設全体の老朽度調査や建築基準法の法適合状況を調査し、設備システムの更新方法を計画。また、社員寮や社員休憩スペース、厨房、バックヤードなどの改修を含む、長期的な施設マネジメント計画も立案している。
旅館業の課題である人材確保と人材育成の視点から、将来的には地域の福祉や街づくりの場となるための道筋を描き、できることから着手するように話し合っていった。
社員教育やブランディング、経営のための資料とするべく、これまでの扇芳閣再生計画基本構想における調査・計画・竣工記録を一冊の冊子にまとめている。